なんだか少し、心が疲れてしまった帰り道。まっすぐ家に帰る気になれなくて、ふらりと灯りのともるスーパーに立ち寄りました。かごを片手にぼんやりと店内を歩いていると、ふと「あれもこれも、好きなものをぜんぶ食べたい」なんて、わがままな気持ちが湧き上がってくることがあります。
そんな日に手に取ったのは、つややかな銀色の皮をした鮭の切り身。それから、ふるふるとやわらかなお豆腐。

キッチンに立つと、まずはフライパンで鮭を焼くことにします。ぱちぱち、と皮が焼ける心地よい音。立ちのぼる香ばしい香りに、きゅっとお腹が鳴りました。こんがりと焼き色がついた鮭の皮は、食卓のささやかな楽しみのひとつです。
隣のコンロでは、ことこと、麻婆豆腐を煮込みます。辛さは控えめに、豆板醤の香りを立たせて。お肉のうまみが溶け込んだあんに、豆腐をそっと加えます。豆腐が崩れないように、やさしく、やさしく。最後にごま油をひとまわしすれば、ふわりと豊かな香りが広がります。

そうしてできあがったのが、今日の気まぐれ定食。こんがり焼いた鮭に、じんわりとろりとした麻婆豆腐。それから、きのこをたっぷり入れたお汁と、箸休めの野菜を少しだけ。

和食と中華、好きなものを並べただけの、自分だけのささやかな食卓です。じゅわっと脂ののった鮭の身をほぐして、あたたかいごはんと一緒に。それから、ふるふるのお豆腐をれんげですくって、はふはふと頬張る。交互に味わっていると、疲れていた心が少しずつ、ほどけていくような気がしました。
完璧な献立でなくても、栄養バランスが少し偏っていたって、いいのかもしれません。「食べたい」という素直な気持ちに耳を澄ませて、自分のためだけにごはんを作る時間。そんなひとときが、明日への小さな活力になるような気がするのです。
レシピ:麻婆豆腐
材料(2人分)
- 木綿豆腐… 1丁(約300g)
- 豚ひき肉… 100g
- 長ねぎ… 1/3本
- しょうが… 1かけ
- にんにく… 1かけ
- 豆板醤… 小さじ1
- (A)水… 150ml
- (A)鶏ガラスープの素(顆粒)… 小さじ1
- (A)醤油… 大さじ1
- (A)酒… 大さじ1
- (A)砂糖… 小さじ1/2
- 片栗粉… 大さじ1/2
- 水(片栗粉用)… 大さじ1
- ごま油… 小さじ1
- サラダ油… 大さじ1
作り方
- 豆腐は2cm角に切る。長ねぎ、しょうが、にんにくはみじん切りにする。(A)は混ぜ合わせておく。片栗粉と水(片栗粉用)を混ぜて水溶き片栗粉を作る。
- フライパンにサラダ油、しょうが、にんにく、豆板醤を入れて弱火にかけ、香りが立つまでじっくり炒める。
- 豚ひき肉を加えて中火で炒め、色が変わったら(A)を加えて煮立たせる。
- 豆腐をそっと加え、2〜3分静かに煮る。長ねぎを加え、水溶き片栗粉を回し入れ、やさしく混ぜてとろみをつける。
- 最後にごま油を回しかける。
調理時間の目安: 約15分
おいしく作るコツ: 豆腐は崩れやすいので、加えた後はヘラなどで大きく混ぜず、フライパンを揺するようにして味をなじませるとよいです。


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