炊き込みご飯の湯気が立つ。それだけで満たされる、ある日の食卓

慌ただしく過ぎていく毎日の中で、ほっと一息つける時間はありますか。

なんだか少し心が疲れてしまったな、と感じる夜は、台所に立って、お米を研ぐことから始めてみます。ひんやりとした水の感触が、こわばった気持ちを少しだけほどいてくれるような気がするんです。

この日は、冷蔵庫にあった根菜ときのこ、それから少しの鶏肉を入れて、炊き込みご飯を作ることにしました。

ごぼうをささがきにする時のしゃくしゃくという音、人参のやさしい橙色。きのこの豊かな香り。素材の旨味を吸い込んだお米が、炊飯器の中でゆっくりと、ふっくらと炊きあがっていくのを想像する時間もまた、ごちそうです。

イラスト

炊きあがりを告げる音とともに立ちのぼる、甘くて香ばしい湯気。しゃもじでそっと混ぜ合わせると、ほかほかのご飯の中から色とりどりの具材が顔をのぞかせます。この瞬間の、ささやかな達成感が好きです。

ご飯が炊けるのを待つ間に、もう一品。魚焼きグリルで、こんがりと鯖を焼きました。ぱちぱち、と皮が香ばしく焼ける音。お箸を入れると、じゅわっと脂がにじみ出て、白煙とともに立ちのぼる香りが食欲をそそります。

炊き込みご飯と鯖の塩焼き、冷奴、小鉢が並んだ和食の食卓

炊き立ての炊き込みご飯に、焼きたての鯖。それから、つるんとした冷奴と、ありものでさっと和えた小鉢がひとつ。

品数がたくさんなくても、これで十分。むしろ、これくらいがちょうどいいのかもしれません。

イラスト

主役の炊き込みご飯を、ひとくち。具材の滋味深い味わいが、口の中いっぱいにじんわりと広がります。噛みしめるたびに感じる、お米本来のやさしい甘み。焼き魚のほどよい塩気が、その素朴な味わいをきゅっと引き立ててくれました。

特別なことは何もないけれど、自分のためだけに用意した温かい食事は、疲れた心とからだにゆっくりと染みわたっていくようです。

頑張らなくちゃ、と気を張っている日々に、そっと寄り添ってくれる。そんな、お守りのようなごはん。

毎食完璧じゃなくても、たまにはこうして、湯気の向こうにあるささやかな幸せをじっくりと味わう時間を持つこと。それが、明日への小さな活力になるのかもしれない、と感じた夜でした。


レシピ:炊き込みご飯

材料(2人分)

  • 米… 2合
  • 鶏もも肉… 100g
  • ごぼう… 1/4本(約50g)
  • 人参… 1/4本(約50g)
  • しめじ… 1/2パック(約50g)
  • (A)醤油… 大さじ2
  • (A)みりん… 大さじ1
  • (A)酒… 大さじ1
  • (A)和風だしの素(顆粒)… 小さじ1

作り方

  1. 米は研いで30分ほど浸水させ、ザルにあげて水気をきる。
  2. 鶏もも肉は小さめの一口大に切る。ごぼうはささがきにして水にさらし、アクを抜く。人参は細切りにする。しめじは石づきを落として小房に分ける。
  3. 炊飯器の内釜に米と(A)の調味料を入れ、2合の目盛りまで水を加えて軽く混ぜる。
  4. 2の具材を米の上に平らにのせ、混ぜずに通常通り炊飯する。
  5. 炊きあがったら、底からさっくりと切るように混ぜ合わせ、茶碗によそう。

調理時間の目安: 約60分

おいしく作るコツ: 具材は米と混ぜずに上にのせて炊くことで、味が均一に染み渡りやすくなります。炊きあがったらすぐにさっくりと混ぜ、余分な水分を飛ばしましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました