ふと空気が冷たくなった夜、ふうふうと湯気を立てながら囲む食卓が恋しくなりませんか。
ある日の我が家の食卓には、旅の思い出が詰まった火鍋がのぼりました。主役は、先日、緑豊かな土地で手作りしてきた、つやつやの黒いこんにゃくです。

こんにゃく芋をすりおろし、固めて、茹で上げて。そんな素朴な時間が、なんとも愛おしく心に残っていて。市場で売られている四角いそれとは少し違う、手作りならではの不揃いな形がまた、かわいらしく思えるのです。
そんな特別なこんにゃくがあるのだから、他の準備は頑張りすぎなくていい。スープは、好きな味の市販のもので十分なんです。お肉や野菜をざくざくと切って、あとは卓上コンロにおまかせ。
食卓のまんなかで、鍋がぐつぐつと歌い始めます。唐辛子や香辛料の、食欲をそそる香りがふわりと部屋に満ちていく時間。これからの時間を思うと、自然と頬がゆるみます。

まずは、旅先で教わった「こんにゃくのレバ刺し」から。薄く切ったこんにゃくを、ごま油とお塩でつるんといただきます。ぷるぷる、もちもちとした歯ごたえがたまりません。
そして、いよいよ火鍋へ。スープをじゅわっと吸い込んだこんにゃくは、驚くほど味わい深い。ひとくち頬張れば、ぷるんとした食感とともに、こんにゃく自身の素朴な風味と、スープの旨みが口いっぱいに広がります。

はふはふ、と息をしながら、みんなでひとつの鍋をつつく。他愛もないおしゃべりと、器のふれあう音。そんな時間が、冷えたからだを芯からじんわりと温めてくれるようです。
旅先で出会った食材や、そこで過ごした時間が、いつもの食卓をこんなにも温かいものにしてくれる。完璧な手料理を並べなくても、たったひとつ、心に残る思い出の食材があるだけで、その日はなんだか特別な一日になるのかもしれませんね。
レシピ:火鍋
材料(2人分)
- 豚バラ薄切り肉… 200g
- こんにゃく… 1枚(約200g)
- 厚揚げ… 1枚
- 春菊… 1/2束
- えのき茸… 1/2パック
- しめじ… 1/2パック
- もやし… 1/2袋(約100g)
- 市販の火鍋の素… 1袋
- 水… 鍋の素の表示分量
作り方
- こんにゃくは手で食べやすい大きさにちぎる。厚揚げは熱湯をかけて油抜きし、食べやすい大きさに切る。
- 春菊は根元を切り落としてざく切りにする。きのこ類は石づきを落として手でほぐす。もやしはさっと洗う。
- 卓上コンロに鍋を置き、市販の火鍋の素と表示通りの水を入れて火にかける。
- 煮立ったら、火の通りにくいこんにゃく、厚揚げ、きのこ類から加える。再び煮立ったら、春菊、もやし、豚肉を加え、具材に火が通ったらいただく。
調理時間の目安: 約20分
おいしく作るコツ: 主役のこんにゃくは、包丁で切るよりも手でちぎることで断面が不規則になり、スープの味がよく染み込みます。
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