なんだか少し心が疲れてしまったな、と感じる時、ふと子どもの頃の記憶がよみがえることはありませんか。
ある週末の午後、窓から差し込むやわらかな光の中で、無性に懐かしいカレーが食べたくなりました。それは、小学校の給食で食べた、あの少し甘くてとろりとしたカレー。特別な日ではないけれど、なぜか心に残っている、あの優しい味です。
広島市の給食のカレーは、お店のルウを使わずに小麦粉やカレー粉を炒めて手作りするのが特徴なのだとか。 かくし味には、お好みソースやオイスターソースが入っているそうで、野菜がとろとろに溶けるまでじっくり煮込むのだと聞きました。
そんな話に想いを馳せていると、そばにいた長男が「僕が作ろうか?」と嬉しい一言。お言葉に甘えて、カレー作りは長男にお願いすることにしました。玉ねぎをじっくりじっくり、飴色になるまで炒めてくれる長男。にんじんやじゃがいもが、コトコトと音を立てながらやわらかくなっていくのを待つ時間。スパイスの香りが部屋中にふわりと広がると、それだけで心がほぐれていくようです。

カレーは長男に任せて、せっかくだから、私は季節のものを少しだけ添えてみましょうか。
この時期ならではの、わらび。さっと茹でて、ささみと一緒に味噌とマヨネーズでこっくりと和えてみます。しゃきっとした歯触りが、食卓のささやかなアクセントになりました。
そして、もう一品は納豆汁。ひきわり納豆と豆腐、油揚げ。 ふわっと立ちのぼる湯気と味噌の香りに、なんだかほっとします。納豆を入れたら、煮立たせないのがやさしい味に仕上げるこつなのだとか。

気がつけば、いつもの食卓が、なんだかとても豊かなものに見えてきます。

特別なごちそうでなくても、手の込んだ料理でなくてもいいんです。ただ、自分のために、大切な誰かのために、食材と向き合う静かな時間。そして、誰かが自分のために腕をふるってくれる、あたたかな時間。それが、きっとすこやかな心とからだを作ってくれるのだと思います。
長男が作ってくれた懐かしいカレーをひと口食べれば、忘れていた景色が心の中に広がっていくようでした。頑張りすぎなくていいんだよ、と、あの頃の自分と、そして長男の優しさがそっと背中を押してくれたような、そんな気がした週末の台所でした。
あなたの心に残る、懐かしい味は何ですか。週末は、そんな思い出の味を食卓に迎えてみるのもいいかもしれませんね。
レシピ:給食カレー
材料(2人分)
- 豚ひき肉… 150g
- 玉ねぎ… 1個
- じゃがいも… 1個
- にんじん… 1/2本
- バター… 大さじ1
- 薄力粉… 大さじ2
- カレー粉… 大さじ1.5
- 水… 400ml
- サラダ油… 大さじ1
- (A)お好みソース… 大さじ1
- (A)オイスターソース… 小さじ1
- (A)コンソメ(顆粒)… 小さじ1
- 塩、こしょう… 少々
- 温かいごはん… 2膳分
作り方
- 玉ねぎは薄切りにする。じゃがいも、にんじんは皮をむいて一口大の乱切りにする。
- 鍋にサラダ油を熱し、玉ねぎを弱火でじっくりと炒める。飴色になったら豚ひき肉を加えて炒め合わせる。
- 肉の色が変わったら、じゃがいも、にんじんを加えてさっと炒め、水を注ぐ。煮立ったらアクを取り、蓋をして野菜が柔らかくなるまで弱火で15分ほど煮込む。
- 別のフライパンにバターを溶かし、薄力粉を加えて弱火で焦がさないように炒める。粉っぽさがなくなったらカレー粉を加えてさっと炒め、火を止める。
- 4に3の煮汁をお玉1杯ずつ加えてその都度よく溶きのばし、ペースト状にする。
- 5を3の鍋に少しずつ加えて溶かし混ぜる。(A)を加えてさらに混ぜ、とろみがつくまで弱火で5分ほど煮込み、塩、こしょうで味を調える。
- 器にごはんを盛り、カレーをかける。
調理時間の目安: 約45分
おいしく作るコツ: 玉ねぎは甘みとコクが出るまで、飴色になるまでじっくり炒めるのがポイントです。手作りルウは焦がさないように弱火で丁寧に炒めると、香ばしく仕上がります。
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