街を歩いていてふと見つけた、珈琲の香りが満ちるお店。壁一面に並んだ棚には、世界中の産地から集められた豆や、見たこともないような器具がぎっしりと並んでいます。まるで宝探しのような気持ちで店内を巡っていると、ある商品に目が留まりました。

手に取ったのは「世界の珈琲10種」と書かれた、一杯ずつのドリップバッグのセット。パッケージには、ジャワ、タンザニア、ケニア、ベトナム、コスタリカ…と、馴染みのある国から初めて聞く国まで、10カ国の名前がずらりと並んでいます。それぞれの国の風景写真も添えられていて、どんな味がするのだろうと想像がふくらみます。

家に持ち帰ると、子どもたちも興味津々。「今日はどこの国にする?」と、小さな旅の計画を立てるように、家族でパッケージを眺める時間ができました。
次の日の朝から、わが家のささやかな世界旅行が始まりました。一杯のお湯を注ぐと、ふわりと立ちのぼる豊かな香り。ある日はしっかりとした苦味とコク、またある日は果実のような軽やかな酸味。毎日違う国の、違う味わいに出会えるのが新鮮です。

この街での暮らしも、少しずつ板についてきました。目新しいものを見つけるたびに、この土地の懐の深さを感じます。一杯の珈琲から世界を旅するように、この街のことも、もっと深く知っていきたい。そんなことを思う、朝の時間です。


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