こんにちは、秋山 紡です。
穏やかな陽気の午後、考えごとをしながら歩いていると、見慣れた道ばたに、ふと鮮やかな色が目に留まりました。
アスファルトのわずかな裂け目から、小さな紫色のビオラの花が顔をのぞかせていました。

どこからか種が運ばれ、こんな場所で懸命に根を張ったのだろうと思うと、その生命力に胸を打たれます。
誰に知られるでもなく、ただその場所で静かに咲いている姿。陽の光を浴びて、花びらが柔らかく透き通っているように見えました。

忙しい日々に追われていると、心はいつの間にかこわばり、「もっとこうだったら」と、ないものを求めてしまいがちです。
でも、この花を見ていると「どんな場所でも、咲くことができる」と、静かに語りかけてくるようでした。その姿は、ささやかな祈りのように見えます。

いつもの道でも、少し視点を変えるだけで、世界は思いがけない表情を見せてくれるのかもしれません。
足もとに咲く、小さなビオラ。その健気な姿がくれた穏やかな気持ちが、ささやかな励ましとなった、そんな午後のひとときでした。
秋山 紡 | 言葉と暮らすエッセイスト


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